2011年5月17日火曜日

“自宅でもWiMAX”という選択肢はアリ?──据え置きWiMAXルータ「AtermWM3400RN」のメリットとデメリット

 外出先で使うモバイルWiMAX、最近は都市圏において特にサービスエリアが拡充されてきており、ノートPCやスマートフォン、ポータブル端末で便利に活用するユーザーも増えてきている。では、そんなユーザーも家や会社での通信手段はどうしているだろうか。

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 NECアクセステクニカの「AtermWM3400RN」は、モバイ
ルWiMAX通信モジュールを内蔵する無線ルータ“WiMAX Speed Wi-Fi”だ。バッテリーを内蔵しするポータブル型「AtermWM3300R」(レビュー:これ1つでかなりイける──WiMAX対応無線LANルータ「AtermWM3300R」使いこなしガイド)をベースに、「据え置き型」とした製品となる。「家で使うWiMAX」を製品テーマに、AtermWM3300Rよりいくつかの仕様変更が施され クリスチャンルブタン
ている。

 本機の特徴は、面倒な工事を一切なしに下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、利用制限のないモバイルWiMAXによるブロードバンドインターネット接続を導入できる点と、無線LAN接続に加えて有線LAN接続もサポートする点だ。

 有線LAN接続をサポートするWiMAXルータ機器は、過去にOKIネットワークス製の「WiMAX Wi-Fiゲートウェ
イ(UG01OK/UD01OK)」が販売されていたが、UQコミュニケーションズブランドとしての販売は終了(現在、特定事業者からの販売のみのようだ)、モバイルWiMAX以外では3Gデータ通信対応のバッファロー「ポータブルWi-Fi(DWR-PG)」(および姉妹製品となるNTT東西の「光ポータブル」、NTTドコモの「BF-01B」)などがあるが、その数はそれほど多くはない Arado rmt


 通信モジュールの通信方式は、UQコミニュケーションズとそのMVNOが採用するモバイルWiMAX(IEEE802.16e-2005)に準拠しており、本機は2010年現在の現行サービスでフルスペックとなる下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsでの通信をサポートする。モバイルWiMAXは、地域WiMAXを除くとUQコミニュケーションズがインフラを構築し、UQコミニュケー UGG 靴
ションズのUQ WiMAXのほか、プロバイダや家電量販店などが展開するMVNO事業者を含めると20社近くが接続サービスを提供している。本機はこのうち10の事業者との接続が確認済みとなっている。

 モバイルWiMAXサービスは、サービスエリア内であればその場でオンラインサインアップ(契約)などが可能だ。本機はブラウザからアクセスして最小に表示
される設定画面“WiMAXポータル”からのサインアップにも対応しており、PCとUSBケーブルなどで直接接続する必要もない。2010年11月現在、本機は接続サービスの加入とセットでの販売が主となっているようだが、単体で購入しても、自宅や会社、喫茶店など、WiMAXのサービスエリア内で契約や機器追加の作業はもちろん可能だ。本機と無線LAN接続したスマートフ 12
ォンのブラウザからでもOKである。

 なお、WiMAX機器については、一部の特定接続サービスでしか利用できない専用製品も販売されている。この場合、機器の販売価格が安価になる代わりに、ほかの接続サービスでの利用はできない制限がある。NECアクセステクニカの製品は、型番で認識できる。本機の場合は「PA-WM3400RN(AT)」という型番であれば
接続サービスの制限がなく、UQ WiMAXなどでは機器追加オプションも利用できる。

 無線LANは2.4GHz帯の電波を用い、最大300MbpsのIEEE802.11nとIEEE802.11b/gに対応する。

 インターネット側の最大速度が40Mbpsである現在のモバイルWiMAXにおいて、IEEE802.11nは必須でないとは思う人はいるだろう。ただ、屋内で利用するのであれば、本機
をできるだけWiMAXの電波状態がよい場所に設置し、複数の部屋や異なるフロアで利用するということもある。このため、LAN内の速度面はもちろん、通信距離の延長にも寄与するIEEE802.11n対応はメリットが大きいと考えたい。パフォーマンスについては後ほど検証する。

 一方、有線LANは100BASE-TX準拠となるが、LANハブを介せば複数の有線LAN機器(
デスクトップPC以外に、ネットワーク対応テレビなど)を接続できる。ギガビットLAN対応ハブを用いれば有線LAN機器間では最大1000Mbpsの通信が行えることにもなる。

●ボディサイズは、ポータブル型プラスアルファ程度──よくある無線LANルータより二回りほどコンパクト

 本機はいわゆる据え置き型の機器だ。ただし、本体サイズは極めてコ
ンパクトだ。

 AtermWM3300Rのボディがベースとなっているので、幅や高さは変わらず、1.5倍ほど厚い程度となる。本体サイズは、67(幅)×94(高さ)×35(厚さ)ミリで、重量も140グラム。縦置き/壁掛け対応のスタンドも付属し、机置き、壁掛け、窓際など、設置する場所で困ることも少ないだろう。

●マルチSSIDもサポート、据え置き機
WARPSTARゆずりの充実した無線LANルータ機能

 本機は屋内利用を想定することもあり、無線LANルータとしての機能はかなり充実している。前述のとおり、最大300Mbpsの無線LAN通信速度と100Mbpsの有線LAN接続に対応し、最大32台の無線/有線LAN端末を接続可能だ。

 無線LANのセキュリティはWPA/WPA2、WEP 64/128ビットに対応し、2
つの無線LANセキュリティを使い分けられるマルチSSIDもサポートする。最近は、ポータブルゲーム機においてもWPA対応が進みつつあるが、一部のゲームソフトがWEPでしか動作しないといった課題などもあるようで、家庭ではWEPも使わざる得ない側面もある。セキュリティ設定別に2つのSSIDを使い分けられることは、屋内利用向けの本機では特に重要な機能と言
える。

 もちろん、マルチSSIDは無効にしたり、2つのSSIDをいずれもWPA/WPA2で利用することも可能であり、ネットワーク分離機能により相互接続できない別々のLAN環境も構築できる。例えば、家族でインターネット接続は共有しつつ自分の趣味用PCと家族のPCを分離したり、イベント会場などで業務用とゲスト向けの独立したLAN環境を1台で仕立てる
シーンなどが考えられるだろう。

 無線LANの簡単設定機能は「らくらく無線スタート」と「WPS」の2つをサポートする。らくらく無線スタートは国内メーカー製のポータブルゲーム機などで広く利用されているもの。WPSはWi-Fi Allianceが策定した簡単設定機能で、Windows 7では標準サポートされており、無線LAN接続対応のプリンタや複合機などでも広く
採用されている。

 本機は購入状態でランダムな2つのSSIDと暗号キー(WPA-AES、WEPで個別に13文字)が設定済みとなっている。これに加えて、2つの簡単設定機能を利用することで、多くの無線LAN機器において簡単かつ高いセキュリティで設定できる。

 ルータ機能も一般的な無線LANルータと同様の機能が備わっている。DHCPサーバ機能に
は、MACアドレスを登録することで特定の機器へIPアドレスを指定(固定)して配布したり、MACアドレスによるフィルタリング(接続履歴から指定可能)が行える。

 このほか、本格サーバや一部ネットワーク機器、ネットワークアプリケーションの運用時に必要なポートマッピングや特定条件下のパケットを透過/廃棄するパケットフィルタリング(インタ
ーネット側からの代表的な不正パケットを廃棄する機能も標準で備える)、そしてAtermWM3300Rでは搭載されなかったDMZホストや静的ルーティングも追加され、より柔軟なネットワーク構成に対応することが可能になっている。

 このように、据え置き機器として、単純に無線LAN機能の強化やACアダプタ接続での運用を可能にしただけでなく、屋内で固定
利用するためのルーター機能をしっかりと充実させているのは好印象だ。

●IEEE802.11n+有線LAN対応のメリットとは

 本機は据え置き型のWiMAXルータとして、ポータブル型のAtermWM3300Rと比べると、無線LANのIEEE802.11nへの対応が無線LANの主な強化点になる。

 まずはWiMAX通信時の通信速度をチェックしよう。同一のノートPC
から有線LAN、IEEE802.11n、IEEE802.11gでの接続、比較としてAtermWM3300RでのIEEE802.11gでの接続、計4パターンで比較した。

 結果としては、基本的に誤差と呼べる程度の差しかなかった。測定は下り16Mbpsを超える良電波環境下で実施したので、モバイルWiMAX通信だけを利用する分にはIEEE802.11nであってもこれといったメリットはない。


 次は本機の無線ルータとしてのパフォーマンスをチェックしよう。2台のWindows 7搭載PCを本機に有線、および無線LANで接続し、巨大なサイズのファイルをPC間でコピーして実際に要した時間からファイルコピー時の通信速度を算出した。厳密に言えばファイルコピーではオーバーヘッドもあるので、物理的な通信速度はもう少し速いことになるが、こちらは実利用
時の目安として見てもらいたい。

 PC1:有線LAN→PC2:IEEE802.11n接続でのファイルコピー速度は80Mbpsを超えた。有線LAN側の物理通信速度は最大100Mbpsなので、ファイルコピーの実測値で80Mbps超えとなれば、なかなか優れているといえる結果だろう。

 一方、無線LAN同士となるPC1:IEEE802.11n→PC2:IEEE802.11nでは56.8Mbpsとなった
。単純計算すると無線LAN区間のスループットは最低でも133Mbpsは超えているということになる。一般的な据え置き型のIEEE802.11n対応無線ルータと比べると少々劣る傾向にあるが、大型の外部アンテナを持たず、コンパクトな筐体を採用しているということで、この辺は致し方ない部分ではある。

 いずれにせよ、PC1:IEEE802.11g→PC2:IEEE802.11gとの
速度比は約7倍にもなり、体感値でもハッキリと高速だと分かる。屋内、つまり自宅やオフィスにおいて、複数のPCでのインターネット接続に加えて、ファイルをPC間でネットワークコピーしたり、NASを利用するいったシーンにおいては、IEEE802.11n対応の恩恵が相当に大きいだろう。

●WiMAXならではのフルワイヤレスブロードバンドに安心?便利をプラス


 高速で定額、通信量制限も課されないメリットがあるモバイルWiMAXだけに、3Gデータ通信サービスと比べてポータブル無線LANルータ機器のラインアップがすでにかなり増えている。これらのほとんどは屋外ではバッテリー動作、対して屋内ではACアダプタを利用することでバッテリー残量を気にせずに利用するできる──つまり、1台ですべてのインター
ネット接続をまかなうことが可能である。このため、本機より小型?軽量な製品も多く、まったくモバイルでは利用しないという人を除けばあえて選択するメリットが見えないと思うかもしれない。

 しかし、ポータブル対応モデルはバッテリーでの動作が基本に設計されており、ACアダプタによる利用時はバッテリーを常時放電しつつ、充電する状態になる。
充電用の電源回路とACアダプタ動作用の電源回路を別々に備えるより、小さく軽量であることが重要であるためだ。充電しながらの放電はバッテリーを酷使し、劣化が早くなる使われ方であり、発熱も多くなる。

 対して、本機は「据え置き用」と割り切った電源設計になっている。バッテリーを内蔵しないため当然バッテリーの劣化を心配する必要はないし
、動作中の発熱もかなり抑えられる。

 このため、WiMAXだからこそ自宅やオフィスでは本機にて、という使い方は大アリだ。UQコミュニケーションズや代表的なMVNOは、1つの契約に対して最大2台のWiMAX機器を追加登録できる(初期登録機器と合わせて合計3台を登録可能)。自宅の奥まった部屋ではWiMAX電波は入りにくいが、窓際ならバッチリ。そう
いう現WiMAXユーザーは、本機の導入で利便性がかなり向上すると思われ、検証結果にも表れたように家庭やオフィスで使うなら有線LANポートを持つメリットもかなりあるといえる。

 1つ注意したいのは、1契約あたりの同時WiMAX通信は1台?1か所からに限られることか。複数台の機器を登録して使い分ける場合、標準設定では「後に接続」したほうが有効
になるわけだが、どちらも「切断されたら自動再接続」の設定となっていると堂々巡りの無限ループ状態になりかねない。……と思っていたら、この「機器追加オプション」は2010年11月16日に機能が拡張され、「機器の優先度を3段階に指定」できるようになった。これまでは一律で「後から接続した機器が優先」となるので、上記の無限ループ状態を避けるために本機は
手動接続とする設定にしておく必要があったが、この設定をうまく使えば安心で、手動でつながなくてはならない面倒も減る。この拡張は大変喜ばしい。ただ、接続が1台?1か所に限られるのは変わらないため、自分は外で、家族も自宅で同時に利用するシーンにはどうしても向かない部分はある。

 ともあれ、1人で外と自宅のWiMAX機器を使い分けるモバイ
ルユーザー以外に、高速?低料金?その場で契約OK──というポイントは、自宅に固定ブロードバンド回線がない人にとっても大きなメリットだ。自宅がWiMAXエリアであれば本機を買ってくるだけですぐオンライン契約でき、ワイヤレスサービスのため、工事不要ですぐ高速なインターネット環境が開通することになるわけだ。

 これは、電話局が遠くADSLで
は通信速度が遅い、光ファイバーは高額で工事も面倒そう──と固定インターネット回線をどれにするか迷っている人のほか、月の通信費を抑えたい一人暮らしの人、引っ越しで一時的に固定インターネット環境がなくなってしまう場合、工事やオフィス移転などで一時的に利用する仮オフィスなどへの導入シーンにも大変適している。

●8時間動作+11nテクノ
ロジー、クレードルで有線対応にもなる新モデルも

 NECアクセステクニカは、AtermWM3300Rおよび本機Aterm3400RNに続く新モデル「AtermWM3500R」を2010年11月下旬に発売する。

 AtermWM3500Rは、ポータブル型としての機能や仕様を向上させつつ、オプションで有線LANポートを搭載する据え置き利用向けのクレードル(3000円前後)も用意
するのがポイント。無線LAN機能やソフトウェア面でAterm3400RNとは少し仕様が異なるようだが、AtermWM3300Rおよび本機Aterm3400RNのメリットを合わせたような、魅力ある製品となりそうである。

 こちらも製品を入手次第、機能検証を行う予定だ。


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引用元:ff14 rmt

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